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半導体照射試験装置

図1.宇宙線による半導体エラーの機構

宇宙環境においては強い放射線によってコンピュータや電子機器内の半導体メモリーに誤動作(ソフトエラー)や劣化、破損がおこるため、宇宙用素子については予め試験を行い耐性を確認しておく必要があります(図1参照)。近年、半導体集積回路の微細化や高集積化に伴って、エラーの起こり始めるエネルギー(閾エネルギー)が低下し、発生確率も上昇する傾向にあります。前ページでも述べたように、中性子の場合は地球上においても問題が顕在してきているため、地上における試験はますます重要になっています。

サイクロトロンからの陽子から重イオンまでの各種イオンと中性子は宇宙放射線にエネルギーが近いためその影響を調べるのにふさわしく、当センターにもそのための照射装置が設置されています。図2はその模式図を示します。この装置では、サイクロトロンからのビームを左方から入射させ、終端の窓から空気中に取り出して半導体を照射します。この装置は、宇宙の放射線環境を模擬し、限られた時間内に多くのサンプルの試験を行うために、1)ビーム強度が適度(陽子の場合107 /cm2・s, 重イオンで104 /cm2・s程度)、2)ビーム強度がデバイス面上で均一、3)ビームエネルギーが可変、4)照射しながらビーム量が測定可能、となるように設計されています。1)から3)の条件は、図2のようにサイクロトロンからのビームを、3 mほど上流の薄い金箔で散乱させ、さらにビームアテネータを併用することで実現しています。また、3)は、陽子ビームの場合はデグレーダー法、重イオンの場合はカクテルビーム法を用いることで達成しています。4)にはSEM(Secondary Emission Monitor:二次放射モニター)、または改良型SEMを用います。ファラデーカップ、デグレーダーは遠隔操作可能であり、サンプルをビーム出口付近に置いて操作ができ、半導体はXYRステージに載せることによって、サンプル交換や異なるエネルギーで照射・測定の一連の作業をビームを止めることなく行うことができます。

当センターでは中性子による照射も可能です。それについては、こちらを参照下さい。

図2.イオンによる半導体照射用ビームコース