サイクロトロンは、陽子やα粒子などのイオンを高エネルギーに加速するための装置です。

高速に加速されたイオンを調べたい物質や原子核に照射し、散乱される粒子の角度とエネルギーを測定することで、原子核の性質を調べることができます。また、この高速に加速されたイオンは他の物質に照射することによって、自然界には存在しないRI(ラジオアイソトープ、放射性同位体)を人工的に作ることもできます。本センターでは、加速されたイオンを直接散乱に利用したり、生成したRIから放出される放射線を利用して、様々な研究が進められています。

サイクロトロンで加速されるイオンは、外部に設置されたイオン源から供給されます。本サイクロトロンでは、陽子・重陽子専用の軽イオン用小型電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源、重イオン用ECRイオン源、負イオン源の3種類のイオン源を目的に応じて使い分けています。重イオン用ECRイオン源からは、ヘリウム・炭素・窒素・酸素・ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノンのイオンが供給されています。また、短時間でビームを切り替えるために有効な手段として、炭素・酸素・ネオン等のイオンを同時に加速する、カクテルビーム加速も行われています。

より大強度のイオンビームを得るための工夫として、負イオンの状態で加速した後に正イオンに変換して取り出す研究が進められており、通常の正イオン加速と比べて数十倍以上の大強度化が期待されています。本サイクロトロンは、負イオン加速による大強度イオンビーム専用の取り出しポートを備えた、ユニークな加速器です。