目       次

・巻頭言  ―創立20周年を迎えて― センター長 織 原 彦之丞
・研究紹介
(1) 中性子飛行時間測定装置を使った核子移行反応
 東北大学 理学研究科 物理 中川 武美
(2) PETの眼科領域への応用 ? 視覚情報処理の基礎研究と臨床 ?
 東北大学医学部附属病院 眼科 中川 洋一,濱松 哲央,玉井 信
・ 学内RI施設だより  東北大学 工学研究科 生物工学 西野 徳三
・ 新しい機器の紹介
・ 林部 昭吾さんを偲んで CYRIC 藤岡 學
・ 共同利用の状況
・センターからのお知らせ
・ 国際会議報告 (1) SATIF3 CYRIC 中村 尚司
(2) 第3回日中原子核物理シンポジウム CYRIC 織原 彦之丞
・研究交流
・RI管理メモ
・分野別相談窓口
・人事異動
・CYRIC百科
・編集後記


巻 頭 言  創立20周年を迎えて

センター長  織 原 彦之丞


 本センターは、1997年度をもって創立20周年を迎えました。 年度末の3月7日には記念式典、記念シンポジュウムなども企画されていますが、これまで、学内外の皆々様のご協力ご支援を賜りサイクロトロン並びにラジオアイソトープ(RI)の多目的利用と全学の放射線並びにRIの安全取扱に、役割を果たすことが出来たことにつき、厚く御礼申し上げます。
 1987年に創立10周年の記念式典を執り行いましたが、それからでも学内外の状況は大きく変わりました。 共同利用研は多くの研究分野でつくられ大規模化にともなって組織形態も大学附置から国立直轄研へと変わり、一方、教育・研究体制も多様化して大学を中心に大学院重点化が進み、大学院定員が増え、独立研究科の設置、更には連合大学院などの大学からも独立した機関が機能しています。 今また大学の社会的役割が問われ、行財政改革の名のもとにその存在形態の議論までがなされます。
 このような社会情勢のもと、大学の役割として "萌芽的研究"、"学祭研究" それに "人材の養成" が求められています。 大学における教育・研究が社会の要請や、各々の学問分野の趨勢からかけ離れたものであってはならないことは言を持ちませんが、学問はそれ自身固有の方法論と時計を持ち、一方では予想もつかない大きな飛躍の可能性を内包したものであると考えられます。 ボトムアップの萌芽的研究が重要である所以です。 普遍性と独自性を併せ持っていることは学問の世界でも同じであり、各々の分野で追及されている研究も煎じ詰めれば、ある現象が自然の摂理のどの側面が具現したものであるかを問い、また、自分の研究分野固有の現象を見い出し、或いは新たな自然の摂理の発見を目指すものであり、ここに学際研究の芽が生まれます。 特に、各々の研究が高度に発展した昨今、独自の研究分野で卓越した研究集団間での学際研究こそ真の成果を生産するものであり、多くの分野の優れた研究者に恵まれた大学に於いて始めて発展が期待されるものと考えられます。
 本センターにおける "サイクロトロン並びにRIの多目的利用" は、自然発生的に多くの学際研究を産みだし、センターの各研究部はその中心的役割を果たし、同時に研究環境の整備に努力して萌芽的研究を支え、東北大学が上で述べたような役割を果たす一翼を担ってきたものと自負しています。 加速器 (理学)、 測定器 (理学)、 核薬学 (薬学)、 サイクロトロン核医学 (医学) 並びに放射線管理 (工学) の各研究部が一丸となってユーザー支援を行いながら、上記括弧内の各研究科の協力講座を形成し学生・大学院生の教育研究に直接携わり5研究部が独自の研究分野で第一線の研究成果をあげ、これまでに5回の国際会議を開催するなど高い国際的な評価も受けて参りました。
 科学技術基本法の成立という追風があるものの国家財政の緊迫化は、大学をも直撃しています。 昭和62年の円高差益、平成2年の湾岸戦争、平成8年の経費削減と、それぞれ10%以上の予算削減は我々にとっても大きな打撃であり、このような事態は今後も続くものと予想されます。 じっとしていたら潰れてしまうという危機感をいだきます。 本センターでは、次の30周年までにもう一回りも二回りも研究を発展させ、その役割を果たすため、建設以来20年以上経過したセンターの主力装置のサイクロトロン老朽化と力不足の解消を目指し、"サイクロトロンの更新" をお願いしてます。 共同利用者とセンター職員の奮起を期待し、関係各位のご支援ご鞭撻を切にお願いする次第です。