目       次

巻頭言    ― ダブル・ロール ― 東北大学薬学部長 佐 藤   進
・研究紹介

ポジトロンCTを利用したてんかん研究

東北大学医学部小児科学教室 飯 沼 一 宇

Ca 遊離チャンネルの分子制御機構の研究   ― 天然生理活性物質からのアプローチ

東北大学薬学部生物薬品製造学教室 大 泉   康

・学内RI施設だより電気通信研究所評価
・分析センター 庭 野 道 夫
・新しい機器の紹介
・共同利用の状況
・平成9年度センター概算要求についてセンター長 織 原 彦之丞
・センターからのお知らせ
・研究交流
・RI管理メモ
・組織図
・委員会名簿
・人事異動
・職員名簿
・学生
・研究生名簿
・CYRIC百科
・編集後記


巻 頭 言   ダ ブ ル ・ ロ ー ル


 

東北大学薬学部長 佐 藤   進


 

大学の機能のうち, 知識の獲得は研究に, 知識の伝達は教授・教育に反映されよう大学設置基準によると,わが国では大学教師の資格は専ら研究業績によって規定されている優れた研究者であれば当然優れた教育者であると楽観的に見なされているが,必ずしもその保障は無いように見受けられる大学では研究に裏打ちされない教育はあり得ないと考えられる傾向は極めて強い学問そのものや学者そのものに希少価値があり,動機の強い少数のエリート学生相手の徒弟的訓練の色彩が濃い手工業的研究や,カリスマ的な大学教師の研究生活そのものが実物教育であった時代では, 授業や講義は自分の研究成果の発表の場であり,最小限の労力を投入すれば教育は成り立っていたのであろう大学での学問の細分化・専門化や研究方法の著しい変化は,大学での研究者の多様化をもたらし, 今日ではかつてのように研究そのものが授業や講義の内容になるほど単純ではなくなっているかつてはなかった,大学のカリキュラムあるいはシラバスが必要となり, 自己点検・自己評価という形で学生による講義への評価が求められている 大学教師は教育より研究を重視する教育を受けて育ってきたのである従って,大学教師は研究者であると同時に教育者であると自認はしているが, 一般的に言えば大学教師のほとんどすべては研究をきわめて重視し尊重する研究に比重をかければ教育や授業はおろそかになり,一方教育に比重をかければ研究はお留守になるのは当然の成りゆきである教育者として学生から要求される役割と,研究者として学問の進歩から要求される役割の違い, この違いに応えるのはなかなか骨の折れることである 一口に教育といっても講義や授業ばかりではない就職や進路指導, 奨学金,場合によっては色々なカウンセリング迄含め, 実に多くの時間と心労が要求されるそれに加えて,いわば研究・教育の環境を支える管理・運営 (しばしば雑務と称される) のための各種委員会での役割分担は不可避となっているこれらの仕事は,それが増えれば増えるほど研究への時間配分が犠牲にされることは当然であり,最小限に実行するとか, うまく立ち回って同僚に押しつけるという手合いがでてくるのは実に腹立たしいことであるが, (世間が尊敬している?) 大学教師の職業仲間とても日常茶飯事ですらある何しろ (とりあえず現実的には) これらの雑務は研究には何のプラスにもならないし,雑務を可及的に避け研究に集中できれば, 研究者として自己陶酔もできるし,事実, 研究業績もそれだけ挙げ得ることになる極端に言えば, 高校以下の教師と何ら変わらない職域の人間が大学の教壇に立っている一方で,研究職人に過ぎない単純人格が大学教師を演じているという相互軽蔑, 相互非難が大学内部や同じ学部内に生じるのも無理からぬことであり,このことは, ひいては学生の教育に悪影響をもたらすことにもなろう寡聞ながら,アメリカの大学では研究に従事している時間をベースに研究者の数を算定するそうであるすなわち,日本のように大学教師は全員が研究者とはみなされていないわけである一人で何役もこなすのは至難の業である研究要員と教育要員の分離,せめて同一人物の教育期間と研究期間との定期的交代が実現することは今世紀中には叶えられないのだろうか大学を安くあげようとするのは,そもそも大いなる間違いなのである