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巻頭言

東北大学理学部附属原子核理学研究施設 菅 原 真 澄

・研究紹介

CYRIC 石 井 慶 造

医学部第一薬理 渡 邊 建 彦

・学内RI施設だより (医学部附属病院放射線部 高 橋 信 雄 )
・共同利用の状況
・センターからのお知らせ
・研究交流
・RI管理メモ
・人事異動
・CYRIC百科
・編集後記


巻 頭 言  

東北大学理学部原子核理学研究施設 菅 原 真 澄


 サイクロトロンRIセンターについては、研究成果、学内RI関係組織の中心としての活躍ぶりは耳聞きしていながら、さてなにか書くとなると、具体的な内容については殆ど知識がないと言うことに気付かされた。最近、原子理工学委員会からの派遣委員としてセンター運営委員を仰せつかってもその事情はあまり変わりがない。 したがって、巻頭言としてふさわしいかどうかの判断はご勘弁をねがって、ここでは私の所属する核理研、あるいはセンターにも共通の共同利用と言うことについて、日頃考えていることを述べさせていただくことにする。 1970年を中心に10年ぐらいの間に、核理研、センターと比較的大型の施設が全学共同利用として設置されたは東北大学、あるいは学界全体の研究進展に応じた必然的な結果であったと考えられる。その時点での発展しつつある分野の研究を効率的に推進するために、装置と人員を集中させ共同利用を行うと言う考え方が一般的となり、全国的な共同利用研究所の設置も前後して行われている。講座、あるいは部門単位の研究から、各研究機関にまでまたがった研究グループが構成されて組織的に研究が行われるようになってきたのもこの時期からではないか と思う。 共同利用施設では、共同利用を支援するための実験装置、技術者等の配置を完全とはいえないまでも整備してきたし、これからも強化されていくに違いない。 施設の整備は、研究開始のための労力を軽減し、個々の研究者の置かれた立場に制約されずに、研究を行うことを保証してきた。大規模な研究であっても、研究内容に興味を持つ研究者が集まってグループを作り、施設の支援のもとに、比較的容易に研究を開始することが出来る。大学院の重点化で大講座制を取ろうとする最近の動きは、一般の研究でもこのようなグループ構成を研究基盤とする方向を目指しているものとも考えられる。 しかし、この様な研究の進めかたにも問題が無いわけではない。施設の支援によるグループ編成の容易さが、逆にグループ数の増加、細分化をもたらし、グループ間の交流、再編成もないまま活性を失ってしまうということが起こる。これを防ぐためには、課題採択委員会等が、常に研究グループの活動状況を把握し、指導助言を行うことが望ましい。 センターと核理研はサイクロトロンと電子ライナックという加速器の違いを利用し、研究者層の多様な要求を満たすことのできる環境を提供してきた が、両機関の研究者間の交流、情報交換を積極的に行い、お互いの独立を避ける努力をすることは、同時に細分化による弊害から抜け出す助けともなるに違いない。 また共同利用機関内部の研究者と、外部からの利用者の間の対立の問題も、研究グループの細分の結果として起こることが指摘されている。共同利用の面を強調し、支援活動に徹することを求めれば、研究環境の変化に対応する施設側からの自発的な改革意欲が失われてしまう。逆に内部の研究者が、外部研究者に対する研究支援を怠れば、施設は孤立し、共同利用施設としての発展に対する支持基盤を失うことになる。共同利用機関は、ともすればどちらかの極端に陥り易い。支援活動に対する正当な評価、機関内外の研究者を含むような研究グループの編成等の日常的な努力が、この問題の解決策であろう。 核理研、センターを問わず、多くの共同利用施設が変革期を向えようとしている。これまで共同研究を支えてきた歴史の重い殻の中から、両施設の創世記の様な熱気が再現することを期待したい。